2019年に総務省がおこなった家計調査によりますと、光熱費のうちガス代が占める割合は約4分の1になります。電気やガス、石油などのエネルギー消費量の中でもとくにシャワーや食器洗いの際に使用する給湯は、約3分の1を占めていると言われています。
今回は、すぐにできるガス代の節約方法の紹介していきます。ガス代が高いと感じている人やガス代の節約に関心がある人は、ぜひ参考にしてください。
目次
ガス代を節約するために必要な見直しポイント
日々の生活での中でガス使用量を見直せば、どれくらいのガス代が年間で節約することができるのでしょうか。
キッチンでのガス代節約
キッチンで使うガスは、ガスコンロはもちろん、給湯器や食器洗い乾燥機、ガス炊飯器などがあります。これらの機器をよく使っている人は、使い方を意識することで節約効果が高くなります。
ガスコンロ
ガスコンロの使い方として、鍋底やフライパンなどの調理器具の底から火がはみ出ないようにしましょう。火から伝わる熱のロスをできるだけ減らすようにしましょう。
たとえば、約20℃の水1リットルを1日3回沸騰させるときに、強火から中火にするだけで、年間でおおよそ430円の節約効果が見込まれます。
- 調理器具を乗せてから点火するようにする
- 水滴がついた調理器具はふき取ってから火にかける
- 熱伝導率がよい調理器具を使う(とくにアルミ製)
ガス代節約として料理の下ごしらえに電子レンジを使うのも有効な方法になります。あらかじめ電子レンジを使って熱を通しておけば、ガスコンロでの下ごしらえでの煮込み時間を短縮することができます。そうすることで年間約1,000円くらいのガス代を節約することができます。煮物をする場合は、落としぶたを使うことで熱効率が上がって煮込む時間を短縮することができ、ガス代を節約することができます。
下ごしらえで茹でたり煮込んだりするときは、ガスを使う時間を減らして余熱を上手く使うようにしましょう。
そして便利でおすすめなのが、圧力鍋です。圧力鍋を使うことで、通常の調理器具を使うよりも調理時間をかなり短くすることができます。
ガス給湯器
ガス給湯器のガス消費量は、一般的な家庭内で比べると最も大きい機器になります。その中でも、お湯を大量に使うお風呂が、ガス代節約の重要なポイントと言っても過言ではありません。
給湯器の温度設定は、可能な限り低温にしておきましょう。なぜかといいますと、水道の水の温度と給湯器の設定温度との差が大きければ大きいほど、ガス代がかかってくるからです。
たとえば、水道水の温度が20℃のとき、給湯器の温度を40℃から38℃に変えることで年間でだいたい1,500円の節約ができます。※冷房期間を除く253日×65リットル(1日2回手洗い)で計算した場合した場合
また、給湯器自体ですが、高効率なものに換えることで節約効果も高くなります。
従来型の給湯器を省エネ性能の高いものに換えることで、ガスの使用量や二酸化炭素の排出量を10%以上カットすることができます。
交換を検討するときは、価格を確認して、新しくしたときに月々のガス代はいくらになるのか、購入した費用を何年で回収できるのか、しっかりと検討した上で買い換えをするとよいでしょう。
お風呂でのガス代節約
ご家庭でガスを大量に消費するのがお風呂です。とくに冬場は水道の温度と給湯に使う温度の差が大きいため、節約できれば効果の出やすい時期でもあります。
少ないお湯でなるべく低い温度で使う
ガス代の節約に効果的なのが、お湯の量を減らしたうえでなるべく低温設定にすることです。浴槽に入れるお湯を調整したり、シャワーを使い過ぎたりしないようにしましょう。
シャワーで使う量を調整できれば、たとえば、45℃のお湯を1分間時間を短縮することで、年間2,000円くらいのガス代を節約することができます。さらに節水効果として、年間1,000円くらい水道代の節約ができます。
節水効果が高いアイテムでおすすめしたいのが、節水型のシャワーヘッドになります。これを使うことで、従来のシャワーヘッドよりも約30~60%もの節水効果が見込まれます。シャワーのお湯を減らすことができれば、水道代はもちろんですが、ガス代の節約にも繋がってきます。
追い焚きはなるべく使わないようにする
お風呂でガスを使うのは、給湯だけではありません。何かと使ってしまいがちな追い炊き機能でもガスを使っています。できる限り追い焚きは避けたいところです。
この追い炊きを減らすには、浴槽に貯めているお湯の温度を下げないことです。ですので、次の人が入る時間の間隔をできるだけ開けずに入浴する必要があります。そして、次の人が入るまでは浴槽に蓋をしっかりしめることを忘れないようにしましょう。
最初に入る人で注意が必要なのが、お湯の温度が熱いからといって水を入れすぎて温度を下げすぎないことが大切です。後の人のことを考えずに温度を下げすぎてしまうと、結局、追い焚きするはめになってしまうからです。
つまり、お湯を入れるときの温度設定がとても大事だということです。
暖房によるガス代を節約する方法
暖房機器によるガスの消費量も大きくあります。この消費量は、使う器具の性能に依存してしまいますが、使い方であったり環境によって変えることができます。
ガスファンヒーター
ガスファンヒーターにおけるガス代節約ポイントは、以下の通りです。
- 20℃を設定温度にする
- 必要な時につける
- 室内の湿度を上げて体感温度を上げる
- 部屋全体が温まるところに設置する
- フィルターのお手入れをこまめにする
たとえば、外の気温が6℃のときに、暖房の設定温度を21℃から1℃下げて20℃にして1日9時間の使用すると、ガスファンヒーターの場合、年間で約1,400円の節約になってきて、石油ファンヒーターの場合、年間で約600円くらいの節約になってきます。
さらにですが、ヒーターの稼働する時間を1日1時間短くすると、ガスファンヒーターであれば年間で約2,300円くらいの節約になり、石油ファンヒーターであれば年間で1,100円くらいの節約ができます。稼働時間を減らすために、早めに電源を切ることを心がけるようにすれば節約を達成しやくあります。
意外と思われるかもしれませんが、部屋を加湿することでガス代を節約することができるんです。人は、湿度が下がってくると体感温度も低く感じる傾向にあります。ですので、乾燥する冬に部屋を加湿して体感温度を上げることをおすすめします。体感温度が上がってくる湿度としては、40~60%の間になるように設定しましょう。60%を超えてくる湿度にしてしまうとダニやカビが発生しやすくなりますので注意が必要です。
都市ガスとプロパンガスとで基本料金はいくら違うのか
ご家庭で使うガスとしては、都市ガスとプロパンガス(LPガス)の2つに分けることができます。
都市ガスとプロパンガス(LPガス)の違い
都市ガス | プロパンガス | |
---|---|---|
ガス料金 | 低め(公共料金) | 高め(自由料金) |
配給方法 | 地中に埋設されたガス導管 | ガスボンベ |
原料 | 液化天然ガス | 液化石油ガス |
特徴 | 空気より軽い | 空気より重い |
都市ガスとプロパンガスとの違いとしては、配給方法とガス料金が大きな違いとなります。
都市ガスの配給方法としては、表にも書きましたが、地中に埋まったガス導管を通してガスを配給します。このガス導管を地中に埋設するには多大な費用がかかってきます。そのため、かかった費用を回収するためにも配給先としては、ある程度の住宅が密集した場所が必須となります。
公共性が高い都市ガスは、料金が法律で定められている認可方式が採用されています。ガスを供給する事業者は、法規に則った料金を算定します。その料金に対して審査が行われ問題ないと判断された場合に認可されることになります。
プロパンガスの配給方法としては、ガスボンベにガスを詰めて輸送することになります。ですので、ガスボンベを運べるところであれば配給が可能となります。
プロパンガスの料金に関しては、ガスを供給する事業者が自由に決めることができます。そのため、大半の地域では、都市ガスの料金よりもかなり高めの料金が設定されています。
都市ガスとプロパンガスの料金の違い
都市ガス(東京ガス)の場合、標準家庭でのガス使用量は1ヶ月あたり約30㎥になります。2020年4月の東京ガスの基本料金は1,056円で、単位料金が126.8円になります。
基本料金:1,056円 +(126.8円 × 30㎥)= 1ヶ月あたり4,860円
標準家庭における1ヶ月のガス料金は4,860円という計算になります。
プロパンガスの熱量は、都市ガスよりも2.18倍高いといわれているので、都市ガスが30㎥必要だとしてもプロパンガスは13.76㎥で済む計算になります。2020年4月の都心のプロパンガスの料金は、平均で基本料金1,873円になり、単位料金は550円になります。
1,873円 +(550円 × 13.76㎥)= 1ヶ月あたり9,441円
都心における都市ガスの料金とプロパンガス料金とでは、約4,500円も違ってくるのです。
ガスの自由化って何?
ガスの消費量をなるべく低く抑えることでガス代を節約していくことができます。とはいえ、使用量を抑えて節約し続けることは、簡単なことではありません。とくに寒い冬は、節約を意識していたとしても、ついついガスをたくさん使ってしまいがちです。
そこで、ガス料金や契約しているプランを見直すことで、無理をしなくてもガス料金を下げることができたりします。
ガス自由化
都市ガスでの自由化は、1995年から段階的に始まっていきました。ガス自由化によって、消費者が自由にガスの供給会社を選べるようになったのです。
プロパンガスは自由料金制なので、消費者が自由にプロパンガスの販売会社を選ぶことができます。
ガス自由化のメリット
- 都市ガスを供給する会社を選べる
- 自分に合った料金プランを選べる
- 安定供給と安全が確保される
都市ガスの場合は、自由にガス会社を選ぶことはできませんでした。自由化されたことで、競争が生まれガス料金の価格競争やサービス向上に繋がっていくことが期待されています。
競争が起こることで、いろいろなサービスが生まれ、利用者がそれぞれの家庭に合ったサービスを選ぶことができるようになります。
新しいガス提供会社に乗り換えたとしても、保安点検やガス漏れなど、緊急時の対応はガス導管を管理している会社がそもそも行うため、ガス供給の品質は今までと変わらないことから安心して使うことができます。
ガス自由化のデメリット
ガス自由化に伴い、ガスを提供する会社が増えて、たくさんある会社の中からご家庭に合ったガス会社を選ばなければならいというのが、デメリットに挙げられるかもしれません。
たくさんあるプランの中からご家庭に合うサービスがどれなのかを調べて、それをご自分で選ばないといけません。選択によっては、選んだあとにあっちのサービスの方が良かったと後悔することがあるかもしれません。
ガス会社の乗り換えを検討する
プロパンガスと都市ガスには、それぞれメリットやデメリットがあります。何を重視するかは人によって違いますが、料金を重視したい人は、契約しているガス会社から乗り換えを検討してみるのもおすすめです。
プロパンガスから都市ガス
プロパンガスからガス代が安い都市ガスに乗り換えると、最大でガス代が今よりも1/3以下にすることも可能になります。とはいえ、すぐに実現するのは難しいところです。
戸建てであれば工事費用がかかってきますし、賃貸であれば都市ガスエリアへの引っ越しを検討する必要があります。
プロパンガスから都市ガスへの乗り換えを検討するのであれば、事前にどのくらい費用が必要になるのかを確認して慎重に検討しましょう。
プロパンガスからプロパンガス
契約しているプロパンガス会社から、別のプロパンガス会社に乗り換えるのは、確実にガス代を安くする方法になります。最安値でガスを提供しているところに乗り換えれば、確実にガス代を節約することができます。さらに、ガスの設備もそのまま使えるため、工事費用が高額になることもありません。
ガス代を節約するために、まずはプロパンガス会社の比較をしてみましょう。
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まとめ
ガスの使用量を減らしたいのなら、節約効果が見込まれるお風呂と暖房器具から取り組むようにしましょう。その上で、キッチンでのガス使用量を減らせると、かなりの節約が期待できます。
使用量の節約ができたら、ガス料金やガス会社の見直しも検討してみましょう。ガス自由化によってガス会社を見直せるようになりました。ガス会社によっては、電気代や通信費などと合わせたお得なプランなどがたくさん出てきていますので、積極的に活用したいところです。